公開: 2023年3月15日
更新: 2023年4月10日
一つ一つの文字を彫りこんだ活字を作り、その活字を並べて墨を塗り、紙に押し当てて転写する機械を活版印刷機と呼びます。そのような機械は、11世紀の中頃、北宋時代の中国で最初に作られたと言われています。この印刷機械のためには、紙が必要です。
1439年頃、ドイツのマインツに住む金細工師のグーテンベルクは、活字を製造するのに適した合金を作り出し、それを使った印刷機を作りました。そして、油性インクを用いることで大量に紙に印刷ができるようになりました。グーテンベルク自身は、その活版印刷機を使った印刷業も始めました。
活版印刷を利用すると、それまで人手での筆写に依存していた写本の製作や、人手で書かれた文章を木版にして印刷する木版印刷による写本の製作に比較すると、一度に大量の印刷物を効率的に制作できます。このためには、中世から使われていた羊皮紙ではなく、紙が必要になります。ルネッサンス後の世界で、印刷業が大きく発展するためには、紙の工業生産も重要でした。